四国遍路は真言宗の開祖である弘法大師(空海)ゆかりの地を巡る巡礼路であるため、数珠も真言宗の形式に準じたものを使用するのが一般的です。
しかし、他の宗派の方でもお遍路に参加できますし、必ずしも真言宗の数珠でなければならないというわけではありません。大切なのは、心を込めてお参りすることです。
お遍路で使用する数珠の種類と選び方
四国遍路でよく使われる数珠は、主に以下の2種類です。
- 本式数珠(振分数珠を含む)
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108個の珠で構成されているのが基本です。真言宗では特に「振分数珠(ふりわけじゅず)」と呼ばれる独特の形式があり、弘法大師と十大弟子を表すなど、特別な意味を持っています。本式数珠はより本格的な巡礼を志す方におすすめです。
- 略式数珠(片手数珠)
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本式数珠よりも珠の数が少なく、持ち運びやすいのが特徴です。どの宗派でも使用でき、手軽に使えるため、初めてお遍路に参加する方などにもおすすめです。
- 本式数珠(108玉…二重タイプの形状で、振分(ふりわけ)数珠とも呼ばれる)が最も伝統的で推奨されます。
- 真言宗の本式数珠(振分数珠)が推奨されるが、略式数珠も使用可能です。
- 親玉2個、四天玉4個、浄名玉1個、弟子玉20個、露玉4個、梵天房4個を含む。
- 材質は木製(紫檀、黒檀)や石(水晶、瑪瑙、翡翠)、プラスチックなど様々、特に決まりはないので効果や意味で選んだり、お好みで。
- サイズ:一般的に男性用は尺二寸(約36cm)、女性用は8寸サイズ(約24cm)が推奨(お遍路では女性でも尺二寸を持たれる方もいます)。女性用は玉が小さく(5~7mm)、男性用は大きめ(8mm)です。
お遍路で使用する数珠の役割
数珠は、お遍路において袈裟や白衣と並び、重要な持ち物の一つとされています。単なるアクセサリーではなく、巡礼者の精神的な支えとなり、仏様との繋がりを意識するための大切な法具です。
- 念仏・読経の回数を数える
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数珠の珠を繰りながらお経や真言を唱えることで、回数を正確に数えます。
- 巡礼の意識を高める
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数珠を持つことで、巡礼者としての自覚を促し、より真摯な気持ちで巡礼に臨むことができます。
- 仏様との繋がりを意識する
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数珠は仏様との繋がりを象徴すると考えられています。数珠を持つことで、常に仏様と共にあるという意識を持ち、巡礼を通して仏様の教えをより深く感じることができます。
お遍路で使用する数珠の使い方
数珠はお遍路において、単なる飾りではなく、念仏を唱えたり心を落ち着かせたり、仏様との繋がりを感じたりする大切な法具です。
基本的な持ち方は、数珠を二重にして左手に持ち、親玉が上になるようにします。合掌の際は、両手の中指に数珠をかけ、数珠をX字に交差させます。読経の際は、上の親玉を手首にかけ、数珠を一重にして垂らします。数珠繰りは、念仏や真言を唱えながら親指と人差し指で珠を一つずつ繰り、親玉を跨がないようにします。
数珠を使う上での注意点として、首にかけない、汚れた手で触らない、他人に貸し借りしない、不浄な場所に持ち込まない、使わない時は数珠入れに入れて大切に保管する、などが挙げられます。
お遍路で使用する数珠の購入について
数珠は、仏具店やお遍路用品店、寺院などで購入することができますが、インターネットを使ってオンラインストアであらかじめ好みのものを購入することもできます。
お遍路用として販売しているものが間違いないですが、本式数珠(振分数珠)と書いているものであれば大丈夫です。
- 仏具店
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専門店なので、様々な種類の数珠が揃っています。店員さんに相談しながら選ぶことができるので、初心者の方にもおすすめです。
- お遍路用品店
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四国遍路の道中にあるお店やお寺でも購入できます。お遍路に必要なものが一通り揃っているので便利です。
- インターネット通販
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自宅で手軽に購入できますが、実際に手に取って見ることができないため、素材やサイズなどをよく確認してから購入しましょう。珍しい素材でつくっていたり、好みに合わせて選ぶことが出来るのがメリットです。
数珠と一緒に数珠入れも用意しておくと、数珠を大切に保管できます。素材やデザインも豊富なので、好みに合わせて選びましょう。
お遍路で使用する数珠の価格について
お遍路で使用する数珠の価格は、素材や品質によって異なりますが、一般的な価格は以下の通りです。
プラスチック製数珠 | 1,000円~3,500円程度 |
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天然木製数珠 | 5,000円~25,000円程度 |
天然石製数珠 | 8,500円~50,000円程度 |
これらの価格は一般的な目安であり、販売店やブランドによって変わります。また、天然木製には天然石を含む場合もあります。
お遍路用の数珠を選ぶ際は、価格だけでなく、耐久性や個人の好みも考慮することが重要です。プラスチック製は比較的安価で軽量ですが、天然木製や天然石製はより高級感があり、長く使用できる傾向があります。
また、四国八十八ヶ所参りで最も多い忘れ物として数珠が挙げられます。素材について特に決まりはないので、普段から忘れ物をしがちな人は高価な数珠を持ち歩かずにプラスチック製を購入するのがおすすめです。
お遍路で数珠以外に持っていくべき持ち物
巡礼用品(基本装備)
- 白衣(びゃくえ): お遍路の正装であり、清らかな心で巡礼に臨む意味があります。ご朱印をいただくための「判衣(はんえ)」と、普段着の上に羽織る「道中衣(どうちゅうい)」の2着を用意すると便利です。
- 輪袈裟(わげさ): 僧侶の袈裟を簡略化したもので、首にかけます。参拝時の礼儀として着用します。
- 金剛杖(こんごうづえ): 弘法大師の化身とされる大切な杖です。歩行の補助だけでなく、精神的な支えともなります。橋の上では杖をつかないのが作法です。
- 菅笠(すげがさ)/竹笠(たけがさ)/網代笠(あじろがさ): 日差しや雨を防ぎます。笠には「同行二人(どうぎょうににん)」、梵字、偈文などの文字が書かれています。
- 納経帳(のうきょうちょう)/納経軸(のうきょうじく)/白衣: 各寺院でご朱印(納経)をいただくためのものです。納経帳は持ち運びやすく、納経軸は掛け軸として飾ることができます。白衣に直接ご朱印をいただくこともあります。逆打ちの場合は逆打ち用の納経帳を購入しましょう。
- 納札(おさめふだ): 各寺院の本堂と大師堂に納める札です。巡拝回数によって札の色が変わります(白→青→赤→銀→金→錦)。はじめてお遍路をする方は白札を使用します(1~4回目)。あらかじめ住所、氏名、年齢、願い事を記入しておくようにしましょう。
- 線香(せんこう)/蝋燭(ろうそく): 各寺院の本堂と大師堂でお供えします。線香は3本、蝋燭は1本ずつ供えるのが一般的です。
- ライター/マッチ: 線香や蝋燭に火をつけるために必要です。(ターボライターや風防付きライターが便利です)
- 山谷袋(さんやぶくろ): 肩からかける布製の袋で、貴重品などを持ち歩くのに便利です。お手洗いなどに入る際に、数珠や輪袈裟などを入れておくためにも使います。(ショルダーバック、斜め掛けバッグで代用可能、防水のバッグがおすすめ)
服装
- 歩きやすい服装: 車で回る場合でも、駐車場からお寺まで距離があったり、階段を多く登らなければならない場合もあります。長時間歩くことを考慮し、動きやすく通気性の良い服装を選びましょう。
- 靴: 長時間歩いても疲れにくい、履き慣れた靴を選びましょう。スニーカーやトレッキングシューズなどがおすすめです。
- 靴下: 吸湿性、速乾性の高い靴下を複数枚用意しましょう。
- 雨具: 雨合羽やポンチョなど、雨天時に備えて雨具を用意しましょう。
- 防寒着: 特に冬場や山間部を巡る場合は、防寒着が必要です。
- 着替え: 下着や靴下など、着替えを数日分用意しましょう。
お遍路の服装は厳密な決まりはなく、好みのスタイルで巡ることが出来ます。白衣を着用することで、地元の方やお遍路さん同士の交流がスムーズになるというメリットはあります。
- 正統派の白装束スタイル:袖付きの白装束、輪袈裟、菅笠(すげがさ)
- ラフな袖なしの白衣スタイル:袖なしの白衣にカラフルなマウンテンパーカーなどを組み合わせる
- カジュアルスタイル:白衣なしの登山ウェアやアウトドア風の服装
持ち物
- 地図/ガイドブック: 四国八十八ヶ所の地図やガイドブックがあると、道順や寺院の情報を確認するのに役立ちます。あらかじめYoutubeで四国八十八ヶ所参りをしている人の動画をチェックするのも有効です。
- 筆記用具: 納経帳などに記入する際に必要です。油性インクのボールペンがおすすめです。
- 小銭/お賽銭: 各寺院でお賽銭を納めるために必要です。事前に小銭を用意しておきましょう。
- 健康保険証: 万が一の病気や怪我に備えて、健康保険証を持参しましょう。
- 常備薬: 必要に応じて、常備薬を持参しましょう。
- タオル/手ぬぐい: 汗を拭いたり、手を拭いたりするのに役立ちます。
- ティッシュ/ウェットティッシュ: あると便利です。
- 水筒/ペットボトル: 水分補給のために必要です。
- 日焼け止め/帽子: 日焼け対策として、日焼け止めや帽子を持参しましょう。
- 虫除けスプレー: 夏場は虫除けスプレーがあると便利です。
- 携帯電話/スマートフォン: 緊急時の連絡手段として、携帯電話やスマートフォンを持参しましょう。充電器やモバイルバッテリーも忘れずに。
- 現金: 四国ではクレジットカードが使えない場所もあるため、ある程度の現金を用意しておきましょう。
- ゴミ袋: ゴミは持ち帰るようにしましょう。
これらの持ち物はあくまで一例です。ご自身の体力や巡礼スタイルに合わせて必要なものを取捨選択し、無理のない計画を立てることが大切です。
お遍路の順打ちと逆打ちについて
順打ち(じゅんうち)
- 意味
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第一番札所である霊山寺(りょうぜんじ)から始まり、第二番、第三番と順番に八十八番札所の大窪寺(おおくぼじ)まで、番号順に時計回りで巡る参拝方法です。
- 一般的な巡り方
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順打ちは最も一般的なお遍路の巡り方であり、多くの遍路者がこの方法で四国を巡ります。
- メリット
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番号順に巡るため、札所の位置関係や歴史、弘法大師の足跡などを理解しやすく、遍路の物語を辿りやすいというメリットがあります。
逆打ち(ぎゃくうち)
- 意味
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八十八番札所の大窪寺から始まり、八十七番、八十六番と番号を遡って第一番札所の霊山寺まで、反時計回りで巡る参拝方法です。
- うるう年との関係
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逆打ちは、特にうるう年(4年に1度)に行うと、順打ちの3倍の功徳があると言われています。これは「衛門三郎(えもんさぶろう)伝説」に由来するとされています。
- 衛門三郎伝説
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伊予の国の豪商であった衛門三郎が、弘法大師の教えを無視し続けた結果、子供を亡くすなどの不幸に見舞われました。その後、自らの行いを悔い改め、弘法大師を探して四国を巡礼しましたが、何度も順打ちを繰り返しても出会うことができませんでした。そこで、逆打ちをしたところ、ついに弘法大師に巡り会うことができたという伝説です。この伝説から、逆打ちには特別な意味があるとされるようになりました。
- ご利益
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逆打ちは順打ちよりも道が険しいとされることから、修行の度合いが高いとされ、功徳も大きいと言われています。うるう年に逆打ちをすると、さらに功徳が増すとされています。
- 2024年は逆打ちの年
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2024年はうるう年であるため、逆打ちの年となります。
項目 | 順打ち | 逆打ち |
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巡る順番 | 一番から八十八番(時計回り) | 八十八番から一番(反時計回り) |
一般的な巡り方 | 一般的 | うるう年に特に推奨される |
ご利益 | 一般的 | 順打ちの3倍(うるう年はさらに倍増) |
道の険しさ | 一般的 | 比較的険しいとされる |
順打ちと逆打ち、どちらを選ぶかは個人の自由です。
順打ち、逆打ちに関わらず、最も大切なのは心を込めてお参りすることです。形式にこだわるよりも、感謝の気持ちを持って巡礼することが重要です。
お遍路は、単なる観光旅行ではなく、修行の道です。それぞれの方法で、それぞれの経験を通して、何かを感じ取ることが大切です。
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数珠は葬祭の際に使われることが多いですが、巡礼においても重要な役割を果たす法具です。
数珠(お念珠)は西国三十三所巡りの際に必要となります。元来の用途として、ご真言やお念仏を唱える際、回数を数えるために使います。正式な珠の数は108とされますが、その半分や4分の1のものもあります。宗派によって数珠の形は異なるとされますが、現在は信心の心ざしがあれば、必ずしもこの形でなければということはなく、略式数珠でお参りをしている人も多いようです。
四国八十八ヶ所巡り(お遍路)では、数珠は袈裟と並んで重要な持ち物とされています。数珠は念珠とも呼ばれ、お参りの際に仏様を念じ、功徳を積むための大切な法具です。
本式数珠は一般的には108個の珠で構成されており、これは人間の煩悩の数にちなんでいます。宗派によって多少の違いはありますが、四国八十八ヶ所霊場では真言宗の形式に準じた数珠を使うのが一般的です。振分数珠は真言宗の正式念珠で、日蓮宗以外の宗派でも使用することが出来ます。