縁起物とは

縁起物

仏教では、この世のすべてのものは、互いに関わり合いながら成り立っていると考えられています。何かが存在するには、必ずそれを支える“縁(つながり)”があり、その仕組みを「縁起(えんぎ)」と呼びます。

一方、日本では昔から、「縁起」という言葉が、神社仏閣の由来や、神仏のご利益を伝える物語のことを指していました。そこから転じて、「良いことが起こりそうな兆し」や「不吉な前触れ」なども「縁起」と呼ぶようになり、「縁起を担ぐ」「縁起でもない」といった言葉が生まれました。

私たちは誰しも、良い縁起にあやかりたいと願い、悪い縁起は避けたいと思うものです。そうした思いから生まれたのが、災いを避け、福を招く“お守り”のような存在——それが「縁起物」です。多くは神社やお寺で授与されるものですが、中には語呂合わせや見た目の縁起の良さ、偶然の出来事から「縁起物」として親しまれるようになったものもあります。

現代は、不安やストレスに満ちた時代です。だからこそ、「これを持っていれば、きっといいことがある」「災いを遠ざけてくれる」「自分らしく頑張れる」——そんな願いを込めて、私たちは縁起物を手にします。そして願いが叶えば、感謝の気持ちを込めてお返ししたり、新たな願いを込めて手に取ったりします。

もちろん、縁起物を“迷信”と切り捨てることもできます。でも、どれだけ科学が発展しても、私たちは心のどこかで「見えない力」や「神さま仏さま」の存在を感じ、日々を過ごしているのではないでしょうか。
縁起物は、そんな私たちと“見えない世界”をつなぐ、静かな橋渡し役なのです。

縁起物

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